帝王切開
帝王切開
当院での帝王切開は、痛みの軽減と美容的な意味を兼ねて、お腹の下の方を横に切開する方法で原則行っております。下着に隠れる位置のため傷が目立ちにくく、縦切開と比べ傷がとてもきれいに治ることが多いと言われています。
また、当院での周術期管理は帝王切開の術後早期回復を目的として、最新のERAS®プロトコールを採用して行っております。これはEnhanced Recovery After Surgeryの頭文字をとった略語で、近年ヨーロッパ静脈経腸栄養学会で提唱され始めた包括的な周術期管理法です。従来の術後管理は、例えば術後数日間ベッド上安静にするといったことや、長期間点滴をしておならが出たら食事を開始するというようなことが一般的でした。これらは過去の慣習に基づいた周術期管理方法で、必ずしもエビデンス (論理的証拠)に基づいたものではありませんでした。これら伝統的な周術期管理法を一つ一つ論理的に検証、改善して術後早期の体力回復を行うものがERAS®プロトコールです。絶飲食期間の短縮、術中低体温の予防、硬膜外麻酔の併用やアセトアミノフェンの定時投与を中心としたMultimodal analgesiaによる適切な疼痛管理、点滴やカテーテルの早期抜去による早期離床などが挙げられます。これにより当院では、帝王切開によって出産された患者様もお腹を切ったとは思えないくらい痛みが軽いため、経腟分娩で出産された患者様とほとんど変わらない程元気に赤ちゃんのケアを術後早期から行うことができております。
参考文献:
・Nelson G, et al. Guidelines for pre- and intra-operative care in gynecologic/oncology surgery: Enhanced Recovery After Surgery (ERAS®) Society recommendations – Part I. Gynecol Oncol. 2016 Feb; 140 (2): 313-322.
・Nelson G, et al. Guidelines for postoperative care in gynecologic/oncology surgery: Enhanced Recovery After Surgery (ERAS®) Society recommendations – Part II. Gynecol Oncol. 2016 Feb; 140 (2): 313-322.
・Nelson G, et al. Enhanced Recovery After Surgery (ERAS®) in gynecologic oncology- Practical considerations for program development. Gynecol Oncol. 2017 Dec; 147 (3): 617-620.
・Unyime I, et al. Enhanced recovery after cesarean delivery [version 1; referees: 2 approved]. F1000 Research 2018, 7(F1000 Faculty Rev):513
・Nelson G, et al. Guidelines for perioperative care in gynecologic/ oncology: Enhanced Recovery After Surgery (ERAS) Society recommendations- 2019 update. Int J Gynecol Cancer 2019;0:1-18.